うちの三尺の童子

アホ男子と中2病女子の子育て てんてこまい物語

風呂上がりのアイスクリーム  ~発達障害は悪なのか?~

ジャックは、小学1年生。もう一人で風呂に入れる。

 

風呂から出て、何か飲もうと冷蔵庫を開けた。

「そうだ アイスがある」

冷凍庫にアイスクリームが入っているのを思い出した。

 

「お母さん アイス 食べていい?」と、ジャック。

「寝る前は、おなかが痛くなるからダメ。また明日ね」と、マリー。

「絶対おなか痛くならない」

「この前も、朝から下痢したじゃない。今日はもう駄目」

 

ジャックは、諦めて寝室に行った。

ベットで、なぜ いつも 自分のやりたいことは ダメと言われるのだろう?と、もんもんとしているうちに、ふと明日の持ち物のことが気になってきた。

 

ダイニングに戻ると、父親のベンが風呂を上がったところだった。なんとアイスクリームを食べてるではないか!!

 

ジャック「とおちゃんだけずるーいい!!オレも食べる」

ベン「おれは まだ寝ないからいいの」

「じゃあ オレもまだ起きてる」

「明日学校だろ 早く寝ろ」

 

この声を聞きつけて、リビングから妹のカイラがやってきた。

 

カイラはまだ1歳半。ベンの膝によじ登りアイスクリームに手を伸ばして「あいちゅ~」と言っている。カイラがへそを曲げると面倒くさい。ベンは、カイラの伸ばした手を避けるようにして、カイラの口にアイスクリームを運んだ。

 

「カイラだけずるーい」とジャックは不機嫌になってきた。

「カイラは まだ 赤ちゃんでしょ」とマリーがたしなめたところで、ジャックには到底納得のできる話しては無い。

「オレだって食べたい!!!!オレだって一緒じゃん!!!!!」とジャック。

「うるさい!!!とっとと寝にいけ!!!!!」

とうとう短気なベンが語気を荒げた。

 

「どうせ オレだけ! いっつも オレだけ悪いんだしっ」

ジャックは、そう言い放つと 泣きながら階段を駆け上って行った。

 

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次の日

 

ジャックは、食後のデザートに アイスクリームを堪能していた。

ベンも、冷凍庫からアイスを出して持ってきた。

 

「とおちゃん」とジャック。

あぁ 誰がこの顔を 小学1年生のものだと思うだろう?

「じいちゃんさ 糖尿病でしょ? とおちゃんも 甘いのばっか食べたらやばくない?」

ジャックは 落ち着いた声で静かに言った。

 

当然 ベンは気分を害した。ベンには心当たりがある。健康診断での数値が気にかかっていたのだ。

 

「うるさい! なんだ!!こぼれとるぞ! 机を拭け!そんなタオルで拭くもんじゃない!!」

ベンは すっかり不機嫌だ。アイスクリームを食べ終わると、煙草を吸いに行こうと席を立った。

 

「タバコ吸うと、病気の人が増えて 病院でお金いっぱい使うんだよ。税金だって使うんだよ」と、ジャック。ベンが振り向いて見たのは、もう 我が子の顔ではない。怒りを押し殺して、皮肉な笑いを見せる敵の顔だった。

 

それからというもの、ベンはジャックの行動にいちいち口を出し 小言を言い 注意し 怒り 制限しようとした。

 

ジャックは 皮肉や悪態 乱暴な態度を駆使し ベンを怒らせることで復讐をした。自分が更に窮地に追いやられようとも ジャックには それしか感情のはけ口を知らなかった。

 

こんなやり取りは、ジャックとベンの関係に限った事ではなかった。

 

ジャックは「オレの顔が悪いから 皆に悪者にされる」と言って マリーに泣きついた。

 

マリーは、ジャックが不憫でならない。ジャックは、繊細で、賢くて、そして我慢が出来ないのだ。周りの人たちの口調に敏感に反応し、命令や批判に傷つき、報復をする。

 

普段のジャックは、思いやりのある優しい子なのだが、容易に悪魔へと転落する子でもあるのだ。

 

マリーは、周囲との摩擦を避けるために「感情を押し殺せ 反抗するな ただ黙って従え」と、教えなければならない。そして、息子にそんなことを強要している自分が情けなくて、怒りがこみ上げ、ジャックと同じように悪魔に転落していく自分を感じるのだった。

 

おしまい

 

フィクションです。パパは、私がダメって言っても 2人でアイス食べるし 煙草も子どもの前では吸いません 息子の登校班でのいざこざって こんな感じなのが原因かなって・・・